AI時代の開発は、こうして始める|設計と実装を、同じAIチャット上で同時に進める
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Design #18 実装編の入口 AI前提で「作り方」を切り替える

#18|AI時代の開発は、こうして始める

これは「作業を速くする」話ではない。設計の前提を切り替え…

作業は速くなった。だが、構造は変わっていない

AIを使って“速く作る”会社は増えている。
だが、AIを前提に“作り方を基本から変えている”会社は、まだ少ない。

これは、1/3 や 1/5 といった作業効率化の時間の話ではない。
問題は「時間効率」ではなく、設計そのものが、もはや過去の上書きでは成立していないことだ。

ポイント:AIを「従来フローに差し込む」だけでは、速くなるほど矛盾が早く噴き出す。
変えるべきは“作業”ではなく、設計と実装が分断されている“構造”そのもの。

図解:従来フロー(Before)とAI前提フロー(After)

Before:分断された工程(後戻りが高コスト) “作業短縮”はできても、構造は残る
要件定義「何を作るか」を固める
設計(基本・詳細)資料が増え、更新が追いつかない
実装仕様との差分が発生しやすい
テスト / 調整ここで矛盾が噴き出し、戻りが重い
After:AI前提(同期ループ) 設計と実装が同じ場で同期し続ける

最初に作る「4点セット」

  • 仕様設計(ゴール・成立条件)
  • 要件定義(OK / NGの線引き)
  • 画面設計(人が触る最前線)
  • 機能設計(概要+API概要)

同期ループ(同じ場で回す)

  • AIに案を出させる
  • 実装して動かす
  • 違和感を言語化して返す
  • 修正して再検証する
重要なのは、AIが何でもできることではない。
「設計と実装が同じ場で同期し続ける」ことだ。

AI時代の開発は、最初にこれだけを作る

AI前提に切り替えるなら、最初に作る設計は“増やす”のではなく“絞る”。ここでの狙いは、実装を開始し、検証で固めるための最小構成を作ること。

01 / 04

仕様設計

やること:何を成立させたいか。ゴールと成功条件を一枚に落とす。

やらないこと:初手で“細部”を固めない。仮説として置く。

02 / 04

要件定義

やること:「できればOK」を明確にする。捨てる要件も同時に決める。

やらないこと:将来の例外を全部拾わない。検証で増やす。

03 / 04

画面設計

やること:人が触る導線、入力と判断ポイントを先に置く。

やらないこと:帳票・資料の都合でUIを歪めない。構造を守る。

04 / 04

機能設計(概要+API概要)

やること:責務と入出力(最小)だけ定義する。AIが実装できる粒度に揃える。

やらないこと:詳細API仕様・フロー図を先に完成させない(実装でズレる)。

設計とは、ドキュメントを完成させることではない。
実装を始めるための「動く仮説」を用意し、検証で固めることだ。

ワンストップ:統合型モデルが「分断」を溶かす

GPTやGeminiのような統合型モデルが入ると、
設計・画面・API・コード・JSONまでを分断せずにワンストップで回せる。

ここで言うワンストップとは「便利」という意味ではない。
分断(転記・持ち替え・工程分離)によって生まれていたズレを、同じ場で同期し続ける構造へ切り替える、という意味だ。

ワンストップの中身 “同じ場”で、設計と実装が同期する

同期される対象

  • 仕様 / 要件
  • 画面(UX)
  • API概要(責務と入出力)
  • 実装(コード)
  • JSON / テストデータ

同期の結果

  • 矛盾の検出が早い
  • 修正の往復が軽い
  • 資料の形骸化を防げる
  • デモ到達が速い

ディレクターの役割は、ここで反転する

このとき必要なのは、資料を管理するPMでも、工程を引くPLでもない。
AI・表現ツール・開発・検証を横断し、「これは現場で動く」と判断し、そのまま実装まで終わらせられるディレクターだ。

AIは統合できる。だが、判断と責任は、人が統合しなければ破綻する。

実践編としての前提

なお、ここで述べた開発フローについては、
私たちはすでに数年前から、実運用の中で実証してきた。

理論ではない。理想論でもない。
AIが登場する前から、そしてAIとともに、現場で成立する形として検証してきたやり方だ。

次回(Design #19 / #20)へ:
ここから先は、画面設計の実例、API概要の粒度、キャッチボール(修正ループ)の具体を“誰が見ても分かる形”に落としていく。